建築設計テキスト集合住宅/(株)彰国社





これは、「同潤会江戸川アパートメント」(以下、江戸川AP、昭和9年竣工)の建替えである。江戸川APは、同潤会の集大成として都市居住の理想を追求した集合住宅であったり建替え計画はその精神と記憶を継承しながらも現代の視点で問い直した。配棟は江戸川APの囲み形式・階段室型を踏まえ、4〜5戸に1階エレベーターの中入れ型を基本とした。建替えの合意形成を図るため、ボリュームを確保し高密化せざるを得ないか、建物を雁行させ住戸問の「ズレ」により「抜け」をつくった。この雁行は「都市における多様な個の集積した風景」も意図している。江戸川APのコミュニティの核となったのは「中庭」と「社交室」であったが、今回もコミュニティの継承と新住民との交流を図るため、7階レベルを各棟の「繋ぎ空間」とし、ここを庭園としてつくり込み、また「社交室」を共用施設として現代的に再生させた。さらに「旧10階段」を再現するとともにアールデコ調の六角面格子・ステンドグラス・造作家具等の当時のパーツを、ラウンジ・陶芸工房のあるアトリエ・サブエントランス等に活用し、記憶の手がかリとした。
(山中猛)