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同潤会の精神を受け継ぐ建て替え計画


同潤会江戸川アパートメントを建て替えたアトラス江戸川アパートメントが、6月から入居者を迎えている。旧アパートは1934年、関東大震災後の復興を目的とした財団法人「同潤会」によって建てられた。同潤会が建てた16か所のうち、最後の集合住宅だ。
  建て替え計画では、同潤会がはぐくんできたコミュニティーを維持し、旧アパートの面影をできる限り受け継ぐことを図ったという。
  緑豊かな中庭は床面積確保のため失われたが、その代わりとして、アネックス棟と南棟を7階レベルでるなぎ、屋上庭園を散策できる空中回廊を設けた。敷地全体の樹木数は4000本に及ぶ。
  同潤会アパートに欠かせない共用部も引き継いだ。陶芸教室、絵画教室などを開催するアトリエでは、旧アパートの階段と手すりを再現した。階段の親柱まわりの形状、階段の蹴り込み、踏み面寸法、床の仕上げなどを復元している。応接室では、旧16号室の居間にあった家具を保存・再生した。
  旧アパートは老朽化が進み、建て替え計画が幾度となく浮上したが、日影規制、斜線規制などが厳しく、床面積の確保が難しいのが問題になっていた。
  団地管理組合は2002年に各棟の地権者の80%以上の賛成をもって建て替えを決議。無償還元率は既存住戸面積の53%にとどまり、従前と同じ面積を確保するには追加の費用負担が生じる。そこで管理組合自らが住戸を所有し、高齢者向けに借家権で貸す終身定期借家制度などの仕組みを設けている。

関連記事:2002年8月19日号30ページ

〇アトラス江戸川アパートメント(旧同潤会江戸川アパートメント)
 所在地=東京都新宿区小川町6-18
 地域・地区=第二種住居地域、準防火地域、第二種高度地区
 敷地面積=6862u
 建築面積=3429u
 延べ面積=2万214u
 構造・階数=SRC造・一部RC造、地下1階・地上11階
 住戸数=232戸(うち地権者住戸130戸)
 事業者=同潤会アパート建替え合同組合、旭化成ホームズ
 設計者=ネクスト・アーキテクト&アソシエイツ
 施工者=竹中工務店
 施工期間=2003年10月〜2005年4月
 総事業費=約85億円





▲アネックス棟の屋上庭園を7階レベルでつなげ、回廊とした




▲旧アパートの階段と手すりを再現したアトリエ。手すりは旧材を再生利用した